突然だが、あなたは自分のことを男あるいは女だと思っているだろうか。もし思っているとしたら、それはいつから?なぜ?
私自身は、いつから、なぜ、自分のことを女だと思うようになったのか、記憶していない。物心ついた頃から思っていたかもしれない。でも。違うかもしれない。正確には、自分は果たして女なのか・男なのか、そんなことを子ども時代に考えたことはなかった。
子ども時代には考えなかったが、最近になって「ああ、私って女だったのね」と、独りごちたことはある。例えば女同士で就職活動の話題になると、飛び出してくる「結婚」「出産」「子育て」といったキーワード。これから自分が社会人になるというのもまだまだ実感が湧かないが、さらにあと7、8年のうちには結婚しているかもしれない、子どもを産み育てているかもしれないという。これはなにも、女という性別に限った話ではない。男の友人と話していても、就職の話題になれば結婚、そして家庭を築くということに話は繋がっていく。俺の就職先は3年以内に必ず地方転勤があるから、その頃までには今の彼女とどうするか、考えないといけないなぁ……なんて悩みを聞くことはしょっちゅうだ。仕事や結婚や子育てといった、これまで遠い未来のお話だと思っていたことが、現実の問題になっていくにつれ、私たちは自分の性別をだんだんと自覚するようになってきたのではないだろうか。
10代の頃、第二次性徴・思春期は否応無しにやってきて、私たちは身体的な性別を意識することになった。続く20代は、「大人としての性別」を意識することが求められる年齢なのかもしれない。
今度は身体が勝手に変わってはくれない。男として、あるいは女として(あるいはもしかしたら別の何かとして)、これから先の人生を歩むとはどういうことなのか。自分の性別について自ら考えなくてはならないのが、私たちの20代=「第三次性徴期」なのだ。
この連載企画では、大人になったのち性別がどんな意味をもつのか、男あるいは女として働くこと、家族を持つことの諸問題について、取材・調査を行う。(中村茉由)