私たちがそれとは気付かずつくりあげてきた防波堤に名をつけるならば、それは“常識”ではないだろうか。
暗ければ明かりをつけられる。食べたいものが食べられる。帰りたい場所に帰れる。
そんな日々の当たり前のこと、常識だと思っていたことのなかで私たちは生活していた。
しかし、その“常識”の中にとどまっていたものごとが外にあふれだし、“常識”という防波堤そのものを決壊させた日、それが3.11だったのではないか。
それまで気付かなかった問題が一気にあふれて表面化した日。
前からあふれそうだったのに見えないふりをしていた問題に直面した日。
まだ揺れ動いている場所は、あらゆる分野にある。
新しい防波堤をつくろうとしている動きも追いかけたい。
≪決壊の日 3.11≫ この企画はそんな視点で東日本大震災を見つけ直す。(永野真奈)