私たちが毎日何気なく利用するキャンパスの環境を守る人々がいる。背中に「TEAM WASEDA」と書かれた青色のユニフォームを着た清掃スタッフの方々の姿を、早大生ならばきっと一度は見たことがあるだろう。彼らは早稲田・西早稲田・戸山・所沢などの各キャンパスだけではなく、大隈講堂や学生会館など、早稲田大学に関連したほとんどの施設の清掃を一手に担っている。まさしく早稲田大学には欠かせない存在であるが、具体的にどのような仕事をしているのかを知っている学生は少ないだろう。私は、私たちが毎日当たり前にきれいなキャンパスを使える環境が、彼らのどのような仕事によって支えられているのかを知りたいと考え、早稲田キャンパスでTEAM WASEDAの統括をされている方にお話をうかがった。
教室、会議室、事務所、廊下、トイレ、屋外…TEAM WASEDAの清掃業務の範囲はキャンパスの隅々まで及ぶ。毎日どのような仕事をしているのだろうか。一日のスケジュールを尋ねてみた。
「キャンパスの清掃は朝がメインの仕事なのです」。TEAM WASEDAの朝は早い。6時頃には出勤し、全教室の黒板の清掃をし、掃除機をかけ、机の落書きをきれいに拭き取る。屋外では落ち葉やゴミを掃き集め、設置されたゴミ箱からゴミを回収する。一限の授業が始まる9時までにこれらの清掃を終わらせなくてはならないというから大変だ。午前の授業が終わり、昼休みになると、午前中に使用した教室のチョークの補充、黒板の清掃を行い、お弁当のゴミでいっぱいになったゴミ箱から再びゴミを回収し、午後の授業に備える。
季節によって変わる仕事もある。新歓と早稲田祭の時期はキャンパス内にサークルやイベントの宣伝ビラがあふれる。早稲田祭の当日は学生主体で清掃を行うので、むしろ当日までの期間にキャンパスが汚れやすいという。中でも教室の机のポケットにビラが入れられていることが多く、その回収のために朝の教室清掃に時間がかかってしまうそうだ。屋外においては、梅雨や台風の時期には、雨が降った時に落ち葉やゴミがつまらないよう排水溝の掃除をこまめに行い、冬になれば、ユニフォームの上に黄色のブルゾンを羽織って雪かきをしたり、水を撒いて凍りついた地面を溶かしたりする。
早稲田大学のキャンパスは緑が豊かである。例えば早稲田キャンパスでは、春にはサクラ、秋にはイチョウが目を楽しませてくれる。しかし11・12月になるとこれらの木々が落ち葉の季節を迎えるため、この時期の清掃が一年で最も大変だという。
このように、TEAM WASEDAは一年を通して様々な清掃業務を行っている。残念ながら、どのような方々がどのくらいの人数でこれらの仕事を担っているのかを詳しく教えて頂くことはできなかった。しかし早稲田大学の施設の中では、早稲田キャンパスを利用する学生の数が最も多いため、そこで働くTEAM WASEDAの人数が最も多いとのことであった。
次に、キャンパスでのゴミの分別状況について尋ねてみた。学生はきちんとゴミを分別して捨てているのだろうか。
「残念ながら、きちんとされているとは言えません」。早稲田大学総務部環境安全課によれば、早稲田大学では年間約1300トンものゴミを排出している。そしてその約40%がお弁当のゴミだという。その量の多さだけではなく分別の状況を見ても、お弁当のゴミはTEAM WASEDAにとって悩みの種だ。多く見られるのは、お昼を生協やコンビニで買い、割り箸も食べ残しもプラスチックの容器もひとまとめにビニール袋に入れて縛ってそのままポイ、とゴミ箱に入れてしまうケースだ。さらに飲みかけのペットボトルや紙パックを中身が入ったままゴミ箱に捨てたり、カップラーメンの汁を洗面台や冷水器に流したりする人も多く、その処理に困っているという。
キャンパス内のゴミ箱は、ゴミの種類で細かく分けられている。「弁当容器(残飯・箸は除く)」「生ゴミ・割り箸」「ペット製品」「ビン・カン」「紙類リサイクル」の5つである。しかし、普段あまり意識しないでゴミを捨てている人が多いのではないだろうか。
「ゴミ箱のゴミは、一度回収し、分別をし直してキャンパス内のリサイクルステーション(ゴミの集積所)に持って行きます。捨てる時に学生の皆さんに分別のルールを守ってもらえると、作業の効率はぐっと上がります」。
さらに、最近キャンパス内での喫煙マナーが気になるという。「トイレやラウンジでタバコの吸い殻が見つかることも多いです。喫煙所が設けてあるのですから、きちんとスペースを守って欲しいですね」。清掃の問題だけではなく、タバコは火災につながる恐れもある。決められた場所以外では控えて欲しいと強く願う。
ゴミ箱にゴミを捨てるその前に、ほんの少しでも自分の分別の仕方を見直して欲しい。割り箸と弁当容器は分ける、飲み物の容器は空にしてから捨てる、不要なビラは紙類リサイクルボックスに入れる…そんなひと手間を一人ひとりが行えば、結果としてその後の分別作業の効率化や、ゴミの削減に大きくつながるだろう。
早稲田大学には5万人を超える学生が在籍している。これだけの学生が毎日キャンパスを利用し、次の日にはまたきれいな状態のキャンパスで授業を受け、サークル活動を行い、学生生活を楽しむことができる背景にはTEAM WASEDAの方々の毎日の清掃業務がある。利用者である私たちは、快適なキャンパスが多くの人々によって支えられていることへの感謝の気持ちを決して忘れないようにしたい。
ご協力:
早稲田キャンパスTEAM WASEDAの皆さん
参考資料:
早稲田大学総務部環境安全管理課HP(最終閲覧日:2013/06/17)
http://www.waseda.jp/ecocampus/eco/inschool/attention.html
(三ヶ野原晴香)