関沢英彦氏は1946年東京生まれ。戦後日本の消費文化に触れ、幼少期から新聞やテレビなどに接し、メディアへの関心が高まる。大学在学時に『NO2主義宣言』に衝撃を受け、広告会社を志望する。1969年に慶應義塾大学法学部政治学科を卒業し、同年に博報堂に入社。
入社後はコピーライターとして活躍し、各種広告賞を受賞。印刷メディアが隆盛を極める中、ラジオ、テレビというメディアが登場し、「テレビCMがさまざまな新しいコミュニケーションの話法を生み出していました」と語る。「原酒の実力」や「一日は愉快に終わりたい」などのキャッチコピーが印象に残っており、消費が盛り上がる中でコピーライターが成長したと述べる。「幅広いコンセプトづくりに関わる中で、一気に仕事の範囲が広がりましたね」。
広告会社として「もっとソーシャルな視点を持とうということで」、1981年に博報堂生活総合研究所を設立。「消費者ではなくて生活者っていうコンセプトにしてつくったのです」と語る。1985年に出版した『分衆の誕生』において社会の細分化を指摘する。1996年同所長に就任。2003年より東京経済大学コミュニケーション学部教授を務める。2004年から博報堂生活総合研究所エグゼクティブフェローに就任。現在は博報堂DYメディアパートナーズメディア環境研究所客員研究員も務める。
コーポレートコミュニケーションについて「広告と広報の違いが見えにくくなりました」と語る。現在は、インターネット、特にソーシャルメディアにより「瞬間大衆」ができるようになり、広告だけでなく、コミュニケーションが難しくなったと言う。その中で、「いずれにしても、言葉が原点。もちろん、そこには、ビジュアルな言語も入るのですが。ともかく、そういうものが時代を作って、イメージを作るのです」と今後への展望を語った。
インタビュワー主担当:佐藤峻一 副担当:宮野翔平