1939年3月2日、鹿児島県にて生を受けた俣木氏は、幼い頃から文学や映画といった文化に慣れ親しんだ。11歳の時、父親の仕事の都合により上京。千代田区の九段高校に入学し、映画監督を志す。立教大学文学部に進学。俣木氏の父親が吉田秀雄氏(第四代社長)の大学の後輩で親交があった縁で、卒業後の1962年電通に入社。当時は「『日本が世界に出ていくぞ』という時だったんで、『よし、この日本でいろいろなモノを作って世界に売りまくろうじゃないか』という気持ちがどの企業にもありました」と振り返る。
1993年取締役となり、2002年代表取締役社長に就任。経営ビジョンとして「価値創造パートナー」を掲げ、「深耕創発」すなわち「深く耕してクリエーティビティーを発揮する」精神が大事だと語った。さらには人材育成にも力を入れ、「人材価値創造」を目指して取り組んだ。
2006年にドバイで開催された第40回IAA世界広告会議において“Transcending Traditional Definition of the Advertising Agency”(「広告会社の従来の定義を超えて」)というスピーチを行い、旧来の広告会社の事業スキームを乗り越えることを提案した。2007年代表取締役会長に就任。「IAAアワード」「鈴木CM賞」「吉田秀雄記念賞」など数々の賞を受賞。「要するに広告というのは、…平和でないと…だめなんだよ。…まさしく平和産業」「トータルコミュニケーション・サービスができる日本の広告会社は、利益ばかりではなく、クライアントとともに変化する可能性を追求してほしい」と語った。
インタビュワー主担当:大森崇司 副担当:三ヶ野原晴香