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シリーズ・放送人インタビュー2011 <第二回>平山武之氏

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 1968年日本放送協会(NHK)に入社。放送部門で生まれ故郷である北九州を担当。かつて日本のエネルギー産業を支えた炭鉱が荒廃していく様を目の当たりにし、衝撃を受ける。その中で社会問題に触れ、真実の伝え方について思い悩む日々を送る。「もしかしたらフィクションの世界の方が世の中の本当の姿を描くのに、正鵠(せいこく)を得ているのじゃないかな」と思い、ドラマ部へ志望。ドラマ部配属後、助監督として過酷な下積み生活を体力で乗り切っていくと徐々に演出を任されるようになる。

 朝のテレビ小説や初の日中共同制作ドラマ「その人の名を知らず」など数々手掛けるようになっていく。その後自身唯一の大河ドラマ「翔ぶが如く」を演出する。1994年からドラマ部長に就任。「NHKはNHKらしいドラマを作るべきだ」との思いで活動。

 初の日中共同制作ドラマを手掛けてから中国と深い人脈関係のあることから、NHK退社後も2010年、再び日中共同制作ドラマである「蒼穹(そうきゅう)の昴(すばる)」を手掛ける。多くのドラマを共にした田中裕子さんの西太后役は、平山氏との信頼関係から生まれた。彼女の芝居で言葉が通じない中国の役者と心で通じたと当時の現場を振り返る。作品は制作プロダクション同士の共同で行われ、「天の邪鬼ですから、みんながやらないことだったらやってやろう」という信念から実現した。

「各放送局にあまり個性がなくなってきているような気がします」というテレビドラマの現状を懸念する。また日本におけるドラマ制作の厳しさからアジアマーケットへの進出に変化の可能性を見出す。テレビドラマは「エンターテイメント、楽しみ、娯楽っていう面だけでなく、それを超えて人生とか人間とか、この世界を考える一つの大きなきっかけを与えてくれる、そういうものだと思うし、そういうものであってほしい、そのためにドラマを作っていく」と語る。そしてこれからも多くの作品を手掛けたいと、意欲を述べた。

 インタビュワー
主担当:田中謙一 副担当:湊沙織 

ゼミジャーナル vol.2

ゼミジャーナル vol.1

シリーズ・記者インタビュー2010

シリーズ・放送人インタビュー2011