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シリーズ・記者インタビュー2010 <第三回>小田貞夫氏

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 東京教育大学文学部を卒業後、1959年記者としてNHKに入局。1960年から50年間、「新聞に追いつけ、追い越せ」を掲げて放送がジャーナリズムとして機能していくのを報道の現場で体験。

 放送メディアの特性は、最大の武器である「速報性・即時性」、そしてその映像と音声により訴えかける力が非常に強い「明解性・訴求性」。それを実感したのが伊勢湾台風と浅間山荘事件だったという。
 「伊勢湾台風では気象台の呼びかけに対して放送がリアルタイムのメディアとして情報をどんどん提供する。今こんなに危険な状態だということをリアルタイムで伝えている、これが放送のメディアの一番重要な機能だとつくづく思った。」

 「浅間山荘事件は、『ing』のメディアとしてのテレビが定位置を得たというのかな、新聞はとても敵いませんねという事を改めて思い知らせた1つの大きな出来事だった。見てればわかるんだよ、機動隊が催涙ガス弾をぶち込むとか、連合赤軍が山荘から撃ってくるとか。何の説明も要らない。同時性の持つ重さ、大きさを改めて示したのが浅間山荘事件だと思ってるの。」

 ジャーナリストの役割とは。
 「人々に情報を提供すること、それに尽きますよね。そのために、人々が必要とする情報を提供するためには取材する側がさらに自分の力を磨いていかなくてはいけない。記者が力を持っていれば、大事な事実を次から次へとどんどん掘り起こしていって、それをきちんと伝えることができる。新聞なりテレビなりが非常に役に立つ有用な情報を提供してくれているなと受け手が思う働きをしているかどうかがすごく大事。」

 情報利用者へのメッセージ。
 「玉石混交の情報が氾濫しているのが現代。デマもあれば無責任な誹謗中傷など、いろんなものがある。そういう中でそれを選りわける力、メディアリテラシーを受け手は持たなくてはいけない。情報リテラシーの極意は二つ。情報を多面的に見て疑ってみること、そして情報を自分だけで考えず人と議論すること。そうすれば、真実が見えてくるのではないかなと思います。」

インタビュワー
主担当:永田裕一朗 副担当:橋本健太郎

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シリーズ・放送人インタビュー2011