2010年春に早稲田大学政治経済学部に赴任した私は、集まった土屋ゼミ第一期生に、ゼミでウェブサイトを開設し、ゼミ・ジャーナルを発刊しようと提案した。早稲田大学政治経済学部は多くの記者・ジャーナリストを輩出してきた長い伝統を持っている。また、実際に明日のジャーナリストを目指す学生たちが多く学んでいる。そしてマス・コミュニケーション、ジャーナリズム、広告およびプロパガンダといったテーマで教鞭を執る私のゼミには、メディアに関心のある学生が集まってきている。こうした学生たちとともに情報や意見を発信するメディアを作り、運営することで、机上の理論ばかりでなく、実際にメディアとは何かを体験し、ジャーナリズムとはどうあるべきかを実践的に思考してみたいというのが私の意図である。一昔前なら、紙媒体による新聞や雑誌になるのだろうが、幸い現在ではインターネットのウェブサイトによって、文章も画像も手軽に不特定多数に送ることができる。こうしたメディアを利用して、ゼミの研究活動をゼミの中だけにとどめるのではなく、外へ発信し外部の人々との交信をすすめられたら、インターネット時代のジャーナリズム、およびジャーナリズム研究の形態にひとつ新しい展開を付け加えられるのではないかと思う。最初は覚束ない手際で、編集方針も右往左往するかもしれないが、このささやかな試みが、新しい出会いと可能性をもたらし、多くの人々に育てられて発展するよう願っている。 (了)