2013年現在で、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)という言葉を知らない若者は、日本にはいないのではないだろうか。1994年に初めて登場したSNSは、2012年には約5060万人(*1)に利用されるサービスとなり、人々の時間や場所を問わないコミュニケーションを生み出してくれている。友達の近況や好きなアーティストのスケジュールなどをチェックしたり、SNSから発信されているゲームをしたり、複数の友人と雑談したりと、ちょっとした時間潰しとして利用している人も多い。
さて、SNSとは元々「インターネット上で社会的ネットワークを構築できるサービス」のことを指す。当然、現実での知人だけではなく、自分が実際にあったことがない人や団体、企業とつながりを持つことが出来る。現在では、多くの企業がアカウントを創り様々な情報を発信したり、市役所や自治体がアカウントや専用SNSを作成し、地域の人々とのコミュニケーションを図ったりしている。ただ、アカウントを創るだけでは興味を持ってもらえないと、それぞれが多くの人々に関心を持ってもらえるように様々な工夫をしている。
―「LAWSON ローソンクルー♪あきこちゃん」
ソーシャルメディア活用企業ランキングで第1位に輝いているLAWSON。オンライン上での看板を背負っているのが“あきこちゃん”である。千葉県のあるスタッフをモデルとして誕生したあきこちゃんは、twitterのフォロワー数222,881人(*2)(2013年6月現在)、LINEの友達630万人以上(2013年2月)という人気者である。あきこちゃんはSNSを通してオンラインクーポンをプレゼントしてくれたり、お店のキャンペーン情報を教えてくれたりする。SNSを利用したO to O(online to offline)のマーケティングであるが、早くからこの施策を実践に移したLAWSONが他のコンビニエンスストアを圧倒している。あきこちゃんの絵本コンテストや、あきこちゃん声優コンテストなど、面白いコンテストも行われるなど、キャラクターとしての人気も高い。ちなみにクーポン券は基本的には先着となっているが、大量の配布量があるため、コンビニによる前にチェックしてみるとお得かもしれない。
―「滋賀県大津市 おおつSNS」
ソーシャルメディアを活用して、地域コミュニティの問題解決を図った成功例として挙げられるおおつSNS。京都市と隣接し、郷土愛や郷土意識が薄れてしまっているという問題に対して、このSNSを利用した取り組みが効果を発揮した。「おおつええもん・ええとこ携帯写真展」と銘打ち、大津市の日常の中にある自然や生活の様子を携帯の写メールで投稿するというもの。結果として、市民が地元の魅力を再発見することが出来、大津に住むことへの愛着が生まれたとの効果があった。SNSというWEB上でのコミュニケーション媒体を使った、自由参加のイベントであり、計400件の投稿が寄せられた。現在ではSNSは民間に移行されたが、今でも大津市の魅力の拡大のために活用されている。この事例に倣い、茨城県ひたちなか市などでSNSを通した取り組みが行われるなど、ソーシャルメディアを通した新しい地域活性化を実現させたものである。
これらはほんの一例であり、SNSを利用している企業や自治体は数えきれないほどにある。また、先行優位型とも言われるWEB媒体の特性上、様々な新しい工夫が次々に生み出されていくと考えられる。SNSを通して、友人だけでなく社会との繋がりを持つことで、いつものちょっとした時間潰しをより楽しんでみてはいかがだろうか。
*1:インプレスR&D 「ソーシャルメディア調査報告書2012」
*2:Agile Media Network 「ソーシャルメディア活用企業ランキング100」
参考:https://sns.ss.i.ryukoku.ac.jp/otsu/ おおつSNS
http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h23/html/nc2323c0.html 平成23年 版 情報通信白書
http://matome.naver.jp/odai/2136246825236257301 ローソンクルーあきこちゃん
(澤田大貴)