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シリーズ・海外特派員ジャーナリストインタビュー2014 <第26回>辻康吾氏

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  1934年に東京で生まれた辻氏は集団疎開先の長野で幼少期を過ごす。オリエンタリズムとして、特に中華に惹かれて東京外語大学中国語学科に入学。1959年に新設された立教大学法学部の教授陣の下で政治公法などを学んだ後、毎日新聞社に入社する。60年安保を経験し、新聞社の内実を知った上での決断だったという。仙台支局で勤務した後、1963年に東京本社に戻る。外信部として『燕山夜話』の翻訳に携わり菊池寛賞を受賞。中国で文革が始まると多忙となり、1971年に香港特派員となり、岡崎嘉平太、新日鉄の稲山嘉寛などを取材。その後編集委員を経て1979年に北京支局長に就任。

帰国後は東海大学、獨協大学の教授を歴任、アジア経済研究所、国際問題研究所、中国研究所などで中国研究を続ける。しかし、「中国とは何か?」を誰も分からないと語る。「歴史的に重層し、地域的にバラバラで個性が強い」中国には、どれだけの人が論じても論じきれないほど様々な顔があるが、日本では古典中国と現代中国が大きく分かれているのが問題だが、親中か反中かで議論していた昔より「今は中国研究にはある意味でいい時代です。」と述べた。また、中国の記者たちは「準公務員」で「中国にジャーナリズムはない」と言う。その上で中国を認識するには、時間がかかる研究者と変化にすばやく対応する記者ではアプローチの仕方が違うので、「そのアプローチが対象を理解する上でどの程度どういう意味を持つか」を考えることが大事だと述べた。

翻訳の仕事については、「その時代時代を代表し、問題がどこにあるかというのを彼ら自身の中に探せば的確に書いている人がいるわけです。そういうのを拾ってくる。それを取材して聞いて書いてもいいけれど、彼ら自身の言葉で、彼らが仲間に見せるために書くほうがより真実だよね」と、その意義を語った。

   インタビュワー
主担当:深谷朋宏、副担当:岸下ひとみ  

ゼミジャーナル

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