土屋ゼミ5期 加藤千暁
2014年10月、新聞通信調査会による「メディアに関する全国世論調査(2014年)」の結果が公表された。それによると、夕刊の発行を「ぜひ続けてほしい」「できれば続けてほしい」と答えた人の合計が、2008年度の調査開始以来はじめて2割を下回ったことが明らかになった。一方で「なくてもよい」と答えた人は33.7%、「どちらでもよい」と答えた人は46.9%に上った。年代別に見ると、続けてほしいと答えた人は18~19歳が28.2%で最も多く、30代が11.9%で最も少なかった。20代から50代にかけては1割台で推移し、60代以上になると多少増加するものの、2割台前半に留まった。2013年度調査と比較すると、夕刊の存続を希望した人が増えたのは18~19歳のみで、他の全ての年代では減少していた。
出典:公益財団法人新聞通信調査「2014年メディアに関する世論調査結果」
29.夕刊の発行をどう思う?
事実として夕刊を読む人の割合も減っている。2014年度の調査では、夕刊を読むと答えた人は26.9%と過去最低を記録。その一方、夕刊を読まないと答えた人は67.2%で、読むと答えた人の約2.5倍いた。年代別に見ても18~19歳が2013年度より6ポイント増えた以外は、ほぼ変わらず、または減少という結果だった。中でも40代が7.2ポイント減、70代が5.8ポイント減と、この二つの年代での減少幅が大きかった。
出典:公益財団法人新聞通信調査「2014年メディアに関する世論調査結果」
21.新聞を読んでいる人は?
ここで注目すべきは、18~19歳の夕刊発行希望者率と夕刊閲読率の高さだろう。この年代の朝刊を読む人の割合は全年代の中で最低だが、夕刊を読む人の割合は20、30代とほぼ同じ。新聞を読まないとされている世代が夕刊を読み、存続を希望するのはなぜだろうか。
その理由の一つとして夕刊の読みやすさが挙げられる。朝刊に比べてページ数が少ないため、大量の活字に気後れしがちな若い世代も手に取りやすい。また、多くの新聞は夕刊に連載小説やコラムを掲載するなど、文化面を充実させている。政治や経済、国際情勢のような固い話題が中心となる朝刊よりも、夕刊の方が気楽に読むことが出来る。加えて、18~19歳は家計の支出を気にする必要がない。20代以上の大多数は社会人なため自ら購読料を支払う必要があり、あまり読まない夕刊を解約して朝刊のみの契約にすることで支出を抑えようとする。しかし学生が多い18~19歳は夕刊を読むことはあっても、購読料は親が支払うため、新聞代を気にする必要がない。そのため、損得抜きの素直な感情によって夕刊の存続を希望する人が多いのではないだろうか。彼らにとって夕刊は、気軽に社会を学ぶツールなのかもしれない。
参考文献
公益財団法人新聞通信調査会「2014年メディアに関する世論調査結果」
http://www.chosakai.gr.jp/notification/pdf/report7.pdf